今年も「六道まいり」の時期が来ました。
お盆前になると、ご先祖様の霊を迎え、お盆が過ぎると、ご先祖さんを送り出すのが世の習いですが、京都では、ご先祖様の霊のことを親しみを込めて“お精霊さん”や“おしょらいさん”と呼び、「六道まいり」といわれる、ご先祖様を迎えるためにお寺へ参詣する行事が行われ、お盆が過ぎると、「大文字の送り火」でご先祖様を送り出します。
六道まいりといえば、なんといっても六道珍皇寺ですが、この地は、平安時代は墓所の鳥辺山の麓で、その入口付近に位置したことから「六道の辻」と呼ばれ、冥界との境とも信じられていました。
お盆には冥界から帰る精霊は、必ずこの冥界との境を通るとされてきたため、お盆の前にご先祖様を迎えるため、この寺にお詣りする習慣ができたといわれます。
ご先祖様の精霊は槙(まき)の葉に乗って帰ってくるとされ、六道参りの境内でも、高野槙(こうやまき)を売る店が軒を並べます。
参詣者は水塔婆に先祖の戒名を書いてもらい、迎え鐘を撞き、水塔婆を賽(さい)の河原と称する地蔵尊宝前にて、高野槙で水回向します。
考えてみれば、「六道まいり」がこの地で行われるのも、当地が冥界との境と信じられて来たことによるもので、また、「大文字の送り火」も三方を山に囲まれたからこそのもので、「ブラタモリ」ではないですが、行事と地理的環境との密接な結びつきを感じます。
また、1年のうち、限られた時期だけ冥界との間を行き来し、また、送り火であの世に送り出すのは、認識不足で邪道かもしれませんが、古(いにしえ)の京の人たちが考えたことととは言え、ギリシャ神話にも通じるようなロマンを感じます。
ちなみに、私の母は毎年「六道まいり」をしており、早朝に行っても、暑い最中、私の母を含め年配の特に女性が多く参拝され、迎え鐘を待つ長い行列が大変でしたが、新型コロナで中止の後の今年の再開の段では、8月9日早朝に行きましたが、新型コロナに警戒する人が多かったのか、2日目の平日の早朝だったからなのか、行列はありませんでした。
六道珍皇寺
所在地:東山区大和大路通四条下る小松町 四丁目小松町595
電話:075-561-4129
六道まいり 8月7日(日)〜10日(水)午前6時〜午後10時
http://www.rokudou.jp/